「どうすれば子どもの考える力を伸ばせるの?」 「家でできる知育遊びが知りたい」
こんな悩みを抱える保護者の方、いらっしゃいませんか?
今回は、ロシアの教育学者ニキーチンが提唱した、遊びを通して子どもの能力を引き出す「ニキーチンの知育遊び」をご紹介します。

具体的な教材や遊び方とともに、その効果まで解説しますね。
私自身、幼児教室で勤めていた経験があり、そして1児のママとして子育てをしてきました。 ニキーチンの知育遊びは、小学校入学前の「文字」「図形」「運動」「目の使い方」といった基礎能力を楽しく育むのに最適だと感じています。
この記事では、特にご家庭で実践しやすい「知育遊び」を中心に、その内容と具体的なポイントを解説していきます。
ニキーチンの知育遊びとは?【具体的な遊び方をご紹介】
ニキーチンが提唱する知育遊びは全10種類。 市販の知育教材の中にも、このニキーチンの考え方が元になっているものが多く見られます。
ここでは、特にご家庭で取り組みやすく、子どもの成長に大きく役立つ遊びをいくつかご紹介しますね。
1. 目の機能を高める「模様がき」

【こんな遊び】 鉛筆を使って、点線をなぞったり、お手本と同じ模様を書き写したりする遊びです。
【この遊びで育つ力】 この遊びは、単に文字書きの練習になるだけでなく、**「見る力」と「手先の巧緻性(こうちせい)」**を同時に養うことができます。
具体的には、
- 目の機能の向上:
- 手元にピントを合わせる力(調節力)
- 線や形を正確に目で追う力(追視)
- 見たものを脳で認識し、手で再現する力(目と手の協応)
などが期待できます。
特に現代では、ペーパーテストやデジタル機器の使用など、手元で細かい作業をする機会が増えていますよね。そのため、幼少期から「見る力」と「書く力」をバランス良く育むことが、その後の学習や生活の土台となります。
【家庭でのポイント】 最初は点線なぞりから始め、徐々に複雑な模様へとステップアップしていきましょう。
完璧を目指すよりも、子どもが楽しんで取り組めるように声かけを工夫するのが大切です。
2. 空間認識能力を育む「模様作り」

【こんな遊び】 立方体の積み木を使って、お手本の平面図と同じ模様を作る遊びです。
ニキーチンの積み木は、4面に色が塗られていたり、面が三角形に分割されて色が塗られていたりする特徴的なブロックを使用します。
【この遊びで育つ力】 この遊びの最大のポイントは、**「空間認識能力」と「論理的思考力」**が養われる点です。
- 空間認識能力: 立体的なものを平面として捉えたり、逆に平面から立体を想像したりする力。
- 論理的思考力: お手本を見て、どのブロックをどう組み合わせれば完成するかを試行錯誤する力。
私の子供は、斜めの線で区切られたブロックの認識に時間がかかりましたが、これは多くの子供に共通する経験のようです。
日常にはあまりない「斜め」の概念に触れることで、新たな視覚的認識が育まれます。
【家庭でのポイント】 最初は簡単な模様から始め、徐々に難易度の高い「シリーズD」などの問題に挑戦してみましょう。

パズルなので、できた時の達成感が子どものやる気を引き出します。手首や手先を上手に使う必要があり、手の機能向上にも繋がりますよ。
3. 平面と立体の認識を深める「みんなの積み木」

【こんな遊び】 いくつかの積み木が組み合わさった「固まり」を使い、お手本通りに組み立てていく遊びです。
我が家では、無垢の積み木に色を塗って手作りしました。

【この遊びで育つ力】 この遊びでは、特に**「平面から立体を想像する力」と「立体の構成力」**が養われます。
- 平面認識と立体認識の橋渡し: 平面で描かれたお手本から、実際の立体物を想像し、それを構成する力を育みます。
- 創造性と問題解決能力: 様々な形の積み木を積み上げたり組み合わせたりする中で、試行錯誤しながら解決策を見つけ出す力が育ちます。
【家庭でのポイント】 親子で一緒に作ったり、競争したりするのもおすすめです。私も子供と一緒に遊ぶことで、この分野の能力が伸びたと感じています。
子供が夢中になるので、気がつくと集中して取り組んでいますよ。
4. 製図の基本を学ぶ「レンガ積み」

【こんな遊び】 レンガ状の積み木を、与えられた「正面図」「平面図」「側面図」を見ながら、その通りに積み上げていく遊びです。
【この遊びで育つ力】 これは大人でも難しいと感じるほど、高度な**「空間認識能力」と「論理的思考力」、そして「製図の基礎」**が養われます。
- 多角的視点: 一つの立体を様々な角度から捉える力が育ち、多角的な視点で物事を考える訓練になります。
- 図面読解力: 将来的に建築やデザインなどに興味を持つきっかけにもなりうる、図面を読み解く基礎力が身につきます。
【家庭でのポイント】 最初は簡単な問題から始め、少しずつ難易度を上げていきましょう。
大人が苦戦する姿を見て、子どもが「教えてあげる!」と積極的に取り組むこともあります。
親子で一緒に悩んだり、発見したりする過程が、コミュニケーションを深める良い機会にもなりますよ。
ニキーチンが提唱する子育ての重要性
ニキーチンは、7人の子供を育てた経験から、「子供は常識で信じられているよりも、たくさんのことができるようになる」ということを発信しました。
彼の哲学が、なぜ現代の子育てにも重要なのかを見ていきましょう。
1. 創造性が必要な時代
ニキーチンがこの本を出版した昭和61年当時から、「これからの時代に必要な能力は創造性である」と述べていました。
これは現代にも通じる考え方です。
現代社会では、単調な作業は機械に代替されつつあります。 だからこそ、**柔軟に工夫し、新しいものを生み出す「創造的な知性」**がますます求められているのです。
ニキーチンの知育遊びは、この「創造性」を遊びの中から自然に引き出すことを目指しています。
2. 人間の能力を伸ばす「最適な時期」
人間の脳の発達には「敏感期」と呼ばれる、特定の能力が非常に伸びやすい時期があります。
ニキーチンは、特に脳の下部や右脳に関する能力は早い時期に吸収力のピークを迎えると指摘しています。
有名な「狼に育てられた少女」の話のように、ある能力を習得する最適な時期を逃すと、後から取り戻すのが非常に困難になることがあります。
聴覚や視覚といった基本的な感覚も、乳幼児期の環境によって大きく左右されることが示唆されています。
ニキーチンは、子供の知能の差が2歳ごろにはっきりと現れるというハーバード大学の調査にも触れ、10ヶ月から1歳半の間で将来の知能が決まる可能性を示唆しています。
もちろん、3歳を過ぎてからでも脳は成長しますし、「気づいた今が最適な時期」という言葉の通り、何もしないよりは、今からでも適切な刺激を与えることが重要です。
3. 「子供に発見させる」ことの重要性
ニキーチンの子育て哲学の根底にあるのは、**「子供に代わって考えてやってはいけない。それは害でしかない」**という考え方です。
託児所の指導やニキーチン自身の家庭でのエピソードが示すように、子供が何か困難に直面したとき、すぐに手助けするのではなく、自分で解決方法を見つけ出す機会を与えることが、思考力や問題解決能力を育む上で非常に大切です。
核家族化や子供の安全を重視するあまり、子供が自力で課題にぶつかる機会が減っている現代において、意識的に「自分でできた!」という満足感を味わわせる場面を増やすことが、子供の自己肯定感や粘り強さを育みます。
幼児期にニキーチンで遊んでみて感じたこと
私自身、幼児期にニキーチンの知育遊びを子供と実践してみて、本当に良かったと感じています。
何よりも、親子で楽しく一緒に遊べたことが一番の収穫です。 小学生になってからは対等に競争できるようになり、それもまた楽しい経験になりました。
積み木やパズルは、試行錯誤を繰り返す中で、精神的な成長も促します。 現在中学生になった我が子を見ても、トライアンドエラーを繰り返す粘り強さや、うまくいかなかった時の自己コントロール力にも、この遊びの成果が現れているように感じます。 空間認識や図形のセンスが身についたのはもちろんのことです。
ニキーチンさんが目指した「創造性」が我が子にどう育っているのかは、これから明らかになっていくでしょう。
忙しくてなかなか時間が取れないご家庭もあるかもしれません。 でも、「0より1の刺激は大きい」と言われます。
ご家庭にニキーチンの積み木や本を置いておくだけでも、子供が自然と興味を持ち、遊び始めるきっかけになるかもしれません。
お子様の健やかな成長のために、ぜひニキーチンの知育遊びを取り入れてみてはいかがでしょうか。